M088:シェアオフィスの内装木質化に適した音響調整パネルの音響効果および生産性向上効果の検証
実施時期 | 2022年12月29日~2023年12月28日 |
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ステータス | 完了(撤去済) |
カテゴリ | 効率,創造,健康 |
場所・空間 | point 0 marunouchi |
背景・課題
・脱炭素の観点や木材産業の活性化、さらに、人の心や身体にも良い影響を与えるという観点でも、空間に木材を取り入れることが重要視されている。※参考:内装木質化実証実験(https://www.point0.co.jp/poc/m057/)
・WEB会議の浸透など、働く環境の変化に伴い、オフィスなどでの音の反響音の問題が顕著になっている。
これら2つの観点から、オフィス環境をより快適にするためのソリューションとして”木材を活用した音響調整パネル”を、point 0 marunouchiのpersonal roomに設置し、“木質化による印象向上”と“音環境改善”の効果について検証した.
概要
音環境の改善 と 見た目の印象向上 という2つの効果を同時に実現する後付け可能な 木製の音響調整パネルをコンセプトにした2種類の試作品(六角パネル,ルーバーパネル)の効果を検証する
<検証内容>
point 0 marunouchiのpersonal roomにおいて、3つの条件を用意した。
・壁面にパネル等を設置しない(なし)※音の対策なし
・六角形の木製音響調整パネルを設置した(六角)※音の拡散効果
・ルーバーデザインの木製音調パネルを設置した(ルーバー)※音の拡散+吸音効果
なし
六角パネル
(拡散)
ルーバーパネル
(拡散+吸音)
WEB会議を想定し、被験者32名に3パターンの部屋で下記を実施いただいた。
①会議の相手に向かってセリフを発声
②【音環境の印象】と【見た目の印象】のアンケートに回答
※入室する部屋の順番は被験者ごとにランダムに設定
実験の様子
検証結果
木製音調パネルを設置した個室にて、視覚的印象と音環境の印象向上の効果が確認出来た。
【音環境の印象評価結果】
4つの項目全てで、六角パネルとルーバーパネルを設置した部屋は試作品がない部屋と比較して優位に評価が高く、壁に設置した2種類の音響調整パネルが音環境の印象を良い方向に改善する結果となった。
【見た目の印象評価結果】
さまざまな項目で、木製音調パネルを設置した条件が、パネルなしの条件よりも空間の印象向上効果があった。
特に、六角パネルでは、21項目中16項目で差が見られた。
■印象向上が見られた主な項目
・働く環境での快適性に影響する
「あたたかい」、「快適な」、「開放的な」、「リラックスする」等
・働く環境の生産性に影響する
「アイデアがわく」、「やる気がわく」、「前向きな」、「人と話したい」、「コミュニケーションが取りやすい」等
今後の展開
今回のような個室ブースだけではなく、広い会議室でどのように効果があるかや、六角パネルについては六角形以外の様々な形状での効果を調査したい。
将来的に、国産材利用の促進のためにも地域産材を利用して製品を作るなどして、全国に拡散パネルを用いた音響改善 を広めていきたい。
Project Member プロジェクトメンバー
- 大建工業株式会社商品企画部 イノベーション課栢野 旭代
2016年大建工業入社。床材の開発、商品企画担当を経て、point0担当へ。 point0では、企業間共創や実証実験、イベント企画等を担当。内装木質化による人への効果について、大学との共同研究などを行ってきた。
- 大建工業株式会社音響製品部 開発課硲 美友
2022年大建工業入社。音響製品をはじめ、人の暮らしを快適にする製品・システムなどの企画開発を担当。今回のpoint0実証実験に使用した木製音響調整パネルの設計も担っている。
- 大建工業株式会社音響製品部 開発課俣野 祐美
2006年大建工業入社。空気、音関連製品の企画開発を担当。室内音響が人に与える影響について大学等と共同研究を実施。現在は、音響性能の新しい表現方法について測定・分析手法の開発にも取り組んでいる。