M068:アプリによる自然音マスキングのパーソナライズ化
実施時期 | 2021年12月24日~2022年6月23日 |
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ステータス | 完了(撤去済) |
カテゴリ | 効率 |
場所・空間 | point 0 marunouchi |
背景・課題
オンライン会議の活用が社会に浸透していくなか、point 0 marunouchi では、情報漏洩防止の観点から、フォンブース内の音漏れ対策として自然音によるマスキングシステムを実装した。これにより利用者における情報の機密性が向上した一方で、現状のシステムではブース内の快適度合に個人差が生じている。ワークスペースにおけるセキュリテイ性と快適性の両立を実現するため、更なる音環境改善に向けた検証が必要である。
概要
セキュリティの担保と快適性向上の両立を目指す。そこで、ブースごとの設備の調整を利用者に委ねることで、快適性が向上し、満足度が向上するのではないかという仮説を立てた。
今回、自然音マスキングが導入されているpoint 0 marunouchi内のフォンブースで利用者のスマホからブースごとの音量・音源が変更可能なウェブアプリを提供し、利用者の行動分析を行った。アプリはインストール作業が不要なものを用意した。
加えて効果測定のために、フォンブース内の音圧センサーについても、通常の間隔より短いスパンで取得・検証し、アプリログとの重ね合わせによる分析を実施した。
検証結果
人感センサーや操作ログの分析結果より、数値として現れたことは以下の通り。
- 総利用者数の約20%の方がアプリを利用いただいた
- マスキング音量を0にした利用者は、そのうち3%であった
- 総じて音量を下げる動作が多かったものの、隣接するブースに利用者がいる際は、音量を下げる動作の比率が少なくなった
上記3つの知見は、過去のアンケート等で得られた主観評価の分析と近しい結果であり、数値から見られる指標でも類する傾向が取られる結果となった。
アプリのUI・UX、安定性など、提供方法に課題を残したものの、機能としては必要だという評価を得ることが出来た。
※操作ログから見るフォンブース内の音圧・最小値の時系列グラフ
今後の展開
今後は、point 0の予約システムなど各種システムとの連携を検討している。利用者の有無や特性に応じた音量調整、音源のリコメンドなど機能の向上に加えて、安心感とユーザー満足度をともに高めるサービス・体験価値の開発を進め事業化の検討を行う。
Project Member プロジェクトメンバー
- TOA株式会社ネクストビジネス推進室竹本 悠平
2013年 TOA株式会社入社。関西エリアで鉄道事業者・通信事業者との共創での、“街の安全を守るIoTを活用した防犯カメラシステム”の納入に従事。2020年より東京へ異動、新規事業推進担当としてpoint0 での活動を通じて事業化へ向けて活動。
- TOA株式会社エンジニアリング部 システムデザイン課 課長埜中 靖夫
TOA入社後、国内外の空港・鉄道や商業施設等のプロジェクト案件を担当。 海外販社への出向経験も活かし、現在は技術的な観点から国内外のビジネス戦略・企画を描くとともに、社内外の協創推進に従事。
- TOA株式会社エンジニアリング部 システムデザイン課 東京グループ グループリーダー喜村 康弘
組込みソフトウェア技術者としてTOAに入社後、北米向け鉄道車両放送システム開発をソフトウェアプロジェクトリーダーとして従事。 2021年4月より現職。point 0では音に関連するPoCの技術面を担当。