M040:Phone Boothなどによる 自然音マスキング
実施時期 | 2020年2月1日~2021年6月30日 |
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ステータス | 完了(常設化) |
カテゴリ | 効率,創造 |
場所・空間 | point 0 marunouchi |
背景・課題
働き方改革・感染症対策の一環としてテレワーク制度の浸透が加速したことに伴い、オンライン会議の需要が高まる中、ワークスペースの音環境における問題が顕在化している。特に、都市部を中心に増加傾向のサテライトオフィスでは、会議における会話の音漏れや秘密情報漏洩の懸念がある。point 0 marunouchi においても、フォンブース内の音漏れについて改善の要望があり、マスキングシステムを実装している。
今後も需要が発生するであろうワークスペース内の音環境改善に関して、建築条件の違いも考慮した更なる検証が必要である。
概要
本取組みでは、point 0 marunouchi内の、PhoneBooth(パーテーションでクローズさた空間)、L9/L10個室(上部に開口がある空間)にて、マスキング音として流す音源コンテンツや音量の変更、使用するスピーカー等の組み替えによって、マスキングの有効性や、執務空間としての快適性に与える影響を検証する。利用者に対するアンケートによってその影響度合いを測り、マスキングシステムの有用性を検証する。
なお、L9/L10個室での取組みについては、実証実験番号36にて報告する。
検証結果
PhoneBoothのアンケートでは、「マスキングがあった方が良い」という回答が8割強、「漏れ聞こえてくる内容が認識できるか」という項目では、92%の方が「聞こえない」、もしくは「聞こえるが認識でない」との回答が得られ、マスキングの効果・利便性が保たれる結果となった。一方、L9/L10個室における検証では、スピーカーの種別によって快適性の維持が図れることが分かった(詳細は実証実験番号36参照)。
今後の展開
上述のとおり、マスキングは有用であると言える一方で、アンケート結果からは、音源の好み、適切と感じる音量など、“音”に対する価値に個人差が大きく表れることも判明した。これについては他の実証実験においても同様の傾向が見られる。今後は、利用者のよりパーソナルな価値にも対応できる事業の実現を目指す。
<ソリューションの紹介サイト:TOA> https://go.toa-global.com/office_market/solutions
Project Member プロジェクトメンバー
- TOA株式会社エンジニアリング部 システムデザイン課 課長埜中 靖夫
TOA入社後、国内外の空港・鉄道や商業施設等のプロジェクト案件を担当。海外販社への出向経験も活かし、現在は技術的な観点から国内外のビジネス戦略・企画を描くとともに、社内外の協創推進に従事。
- TOA株式会社エンジニアリング部 システムデザイン課 東京グループ前田 耕造
九州芸術工科大学卒。TOA入社後、グループ会社の(株)ジーベックに出向。AV制御システムのシステムエンジニア、公共空間や製品音の音デザインの領域で活動。現在は音コンテンツに関する新規事業開拓等に従事。
- TOA株式会社エンジニアリング部 システムデザイン課 東京グループ グループリーダー喜村 康弘
組込みソフトウェア技術者としてTOAに入社後、北米向け鉄道車両放送システム開発をソフトウェアプロジェクトリーダーとして従事。 2021年4月より現職。point 0では音に関連するPoCの技術面を担当。
- TOA株式会社ソリューション営業本部 営業戦略部 副部長空山 雅一
入社後、国内の商業施設や金融機関等の音響・BGMコンサルティング営業を担当。海外出向も経験し、中国・東アジア事業部長などを歴任。 現在は国内外問わず、空間内の音コンサルティングを軸に活動。
- TOA株式会社ネクストビジネス推進室 室長稲畑 伸一郎
大学で音響工学を学び、1999年 TOAに入社。入社後は代理店営業、OEM営業、企業間コラボレーションの特命担当等に従事。ソリューション系および首都圏エリアの営業部長を経て2021年4月に新規事業創出を担うネクストビジネス推進室を立ち上げ、室長に就任。2021年6月から株式会社point0の取締役も兼務。
- TOA株式会社ネクストビジネス推進室竹本 悠平
2013年 TOA株式会社入社。関西エリアで鉄道事業者・通信事業者との共創での、“街の安全を守るIoTを活用した防犯カメラシステム”の納入に従事。2020年より東京へ異動、新規事業推進担当としてpoint0 での活動を通じて事業化へ向けて活動。