M032:バイタルセンシング技術によるワーカーの身体状態変化の見える化
実施時期 | 2021年4月12日~4月21日、2021年7月5日~年7月16日 |
---|---|
ステータス | 完了(撤去済) |
カテゴリ | 健康 |
場所・空間 | point 0 marunouchi |
背景・課題
昨今のコロナ禍の影響や働き方改革等により、自社オフィス以外での執務や在宅でのオンライン会議実施など、ワーカーの働き方が多様化してきている。それらは多くのメリットがある一方で、仕事のON/OFFの切り替えが困難になり心身のバランスを崩している事例も散見される。そのような中、従来以上にストレス・リラックス等のバランスをとりながら、自分自身の心身の状態変化を手軽に定量評価(見える化)し、セルフコントロールしていくニーズが高まっている。また、企業側としても従業員の健康チェックやヘルスケアサポートに対する重要性が高まりつつある。
概要
エプソンのバイタルセンシング技術(活動量計)を用いて計測した脈波間隔の揺らぎのデータをもとに、ガム咀嚼有無における自律神経の状態変化(リラックス効果や集中効果)を把握。アンケートによる生活習慣や嗜好などの定性データとのクロス分析を行い、ワーカーへの影響を確認した。
<検証方法>
被験者は活動量計を装着し15分間の暗算テスト(クレペリンテスト)を2回実施。脈波間隔の揺らぎによる自律神経系指標を解析することで、暗算テストのストレス負荷状態時において、ガムを噛んだ時と噛まない時での身体の状態変化の違いを検証した。(被験者:39名)
エプソンの活動量計
検証結果
被験者全体の結果としては、特にガムを噛む習慣のある被験者ではガムを噛むことでリラックス指標である副交感神経指標(脈波間隔の揺らぎ)が増加する傾向にあった。この結果から、ワーカーがストレスがかかる作業を行う際にリラックス効果を得るためには、ある程度の自分自身が習慣化している行動が有効である可能性が示唆された。
今回の検証では、作業中のストレス負荷状態や安静状態、ガムを噛んでいる際のストレス・リラックスの状態を可視化することができ、バイタルセンシング技術が見える化の有効なツールになり得ることが分かった。
ガムを噛む習慣のある被験者のデータ
エプソンのバイタルセンシング技術についてhttps://www.epson.jp/technology/core_technology/device/vital_sensing.htm
今後の展開
手軽に生体情報を計測できる点を活かし、音や香りなど他社が手がけるオフィス環境改善の効果検証や、より個人に最適化された空間の創造など、より幅広い用途でバイタルセンシング技術の活用を模索していく。
Project Member プロジェクトメンバー
- セイコーエプソン株式会社技術開発本部 コア技術開発部土屋 仁
2001年セイコーエプソン株式会社入社。携帯電話向け液晶ディスプレイの開発を9年担当。その後、研究開発部門に移り、新規事業創出に向けた企画提案、技術開発を推進。現在は次世代電子デバイスの開発戦略立案に従事。
- セイコーエプソン株式会社技術開発本部 技術開発戦略推進部早石 育央
1998年セイコーエプソン株式会社入社。プリンタの画像処理技術開発を12年担当。新規事業プロジェクト、ウエアラブル機器開発を経て、現在は新規事業創出のためスタートアップ企業との協業などを業務に従事。
- セイコーエプソン株式会社技術開発本部 技術開発戦略推進部黒田 真朗
1998年セイコーエプソン株式会社入社。ダイブコンピュータ、脈拍計測活動量計といったウォッチ応用商品の開発を13年担当。新規事業プロジェクト、ウエアラブル機器開発を経て、現在は新規事業創出のため共創活動、産学連携に従事。