Interview with Mr. Ishida of MYCITY inc.
第7回目のpoint 0 committeeインタビューは、株式会社MYCITYの代表・石田さん。point 0と出会った経緯から運営に関することまで、またMYCITYの事業やヴィジョンについてもお応えいただきました!
<石田さんはどのような思いがあって、MYCITYを設立したのでしょうか?>
まず私の自己紹介をすると、私自身大学で建築設計を学んでいて、建築士になりたいと思っていたのですが、ビジネスや仕組みのことをもっと知り、将来的に建物を建てること以外にも面白いことをやってみたいと考えていたので、マッキンゼーアンドカンパニーに入社をしました。
そこでは5年ほどコンサルタントとして働きました。最初の2〜3年は、ビジネスのことを知るためにあらゆる業界のプロジェクトを担当しましたが、結局大学の専攻でもあった都市や建築のプロジェクトに面白さを感じました。
後半の2年は建築・都市開発系プロジェクトを自ずと選び、海外の様々な国のプロジェクト(フィリピンでの台風復興、モスクワの渋滞解消のプロジェクト、サウジアラビア砂漠の都市開発プロジェクトなど)をこなしていました。
また、東京オリンピックが近づいてきていて、ちょうど当時マネージャー職に就いていたこともあり、東京に戻ることを考えていた時でもありました。
コンサルティング+建築系のケーススタディの知識も身に付くなかで、Uber、 Airbnb、IoTなどが目に付き、「テクノロジー × 都市・建築 = システム側からのアプローチで都市を変えること」に興味を持ち始めました。
将来はどれだけ良い建築デザインを行うかよりも、システムから変えていくことの方が世の中にインパクトを与えられるのではないかと考えていました。
そこから、起業した会社がMYCITYです。
<MYCITYの社名にはどんな思いが込められているのでしょうか?>
コンサルティング時代の仕事は、様々な国や地域に放り込まれていたこともあり、まず新しい地に行くと「自分の好きな場所を探す」というのが習慣になっていました。
例えば、週末はこのあたりのバーが盛り上がっているな、オフィスならここの場所が心地いいと感じるな、といった感じで、色々な場所を訪れ、散策して、探して居心地の良い場所を確立していっていました。
そうすると人生がハッピーだなと。
将来的に、住み方や働き方が自由になっていくので、選択肢がある中で自分の心地よいものを探すというリテラシーを高めてあげるようなことができたらいいなとも思っていました。
社名であるMYCITYは、”ここは自分の都市・街だ”と、みんなが思えるように、という意味を込めています。
<MYCITYでは現在どのような事業展開を行なっていますか?>
設立して2.5年ほど、13名ほどの社員がおり、行なっている事業としては不動産向けのIoTプラットフォームを開発・販売しています。
MyPlace
https://mycity.co.jp/products/myplace_office/
人感センサー・位置情報・カメラなどの様々なセンサー情報を元に、自分の場所をつくったり探したりするためのサービスです。
不動産はあまりまだ技術が入っていない業界でもあり、イノベーションが起きていないところでもあるので、いよいよこれから大きな変化が到来するのではないかと考えています。
WEBやアプリなどのデジタル世界は、すぐに使い方を検証して修正・変更できるのですが、都市計画や建物は実際につくった後に検証がほとんど行われていないのが実情です。
建物管理者やデベロッパーは、建物の中で何が行われているのかがほとんど把握できていない状況でもあります。
建物の中にいる会社の総務や人事部門も、働き方改革といっても、何がどう解決できているのか全てが可視化されている訳ではありません。データを取得してもどのように効果検証を行なっていいかわからないところもある。
それを繋げていくことができると良いなと考えています。
<point 0 marunouchi以外ではどこに製品を提供しているのでしょうか?>
東急不動産株式会社の本社が入っている渋谷ソラスタが代表的なプロジェクトです。
今年の4月に新しいオフィスができ、3,000名ほどが入居・使用していただいています。
全ての情報をアプリで可視化しているのですが、分かりやすいところでいうと、
今喫煙室が混んでいる、空調が寒すぎるエリアがあるので少し空調が弱いエリアに移動したいがどこに移動すれば良いか、あの人は今どこにいるか、などが一目でわかるなどです。
需要も伸びていて、オフィスだけではなく住宅にも展開しています。
<石田さんはどういった経緯で、point 0に参画することとなったのでしょうか?>
まずプレスリリース見て「面白そうだな」と思い問い合わせをしたのが始まりです。
その後、ダイキン工業株式会社の石原さんにお会いしました。
色々とお話してヴィジョンも近しかったです。MYCITYがベンチャー企業なので大企業の皆さんよりもフットワークが軽いのではないか、ということを話し合いました。
その時に、石原さんから運営を行える会社が見つかっていなかったため、検討してほしいという打診も受けていました。
これまではコンサルティングや改善提案は行なっていたのですが、その後その提案を受け入れて修正していくかどうかはクライアント次第のところもありました。
ですが、自分たちが場を運営することで、実際のギャップを見ることができるのは意味があるのではないかと考えていました。
<オフィスをつくる段階からの参画だったと思うのですが、印象的なエピソードはありますか?>
大変だったこともたくさんありましたが、どれを取っても面白いと感じています。
場所探しは20箇所以上見学しにいきましたし、建築家も3〜4組の方にお声がけして決定していました。全てのプロセスが非常に楽しかったです。
一つ一つをきちんと考え実行していったところ、形にすることができました。
<point 0 には、MYCITYのどのような技術が提供されていますか?>
混雑状況をサイネージ上で可視化しており、利用者はWEBでもみることができます。
コミッティーの企業様が取り付けている様々なセンサーを可視化して、利用者に提供することをMYCITYでは行なっています。
運営の予約システムなども提供しています。
ハード面だと、コミッティー企業各社様はそれぞれのハードは持ってはいるものの統合するインターフェースはどの企業も持っていなかったので、その部分はMYCITYが提供することになりました。
パッケージ化、コンセプト部分はMYCITYが中心となって考えていきます。
<point 0でこれからやっていきたいことはありますか?>
ユーザー側のインターフェースがまだWEBしかないため、アプリ化を進めています。
Panasonicさんの位置情報の連動などの他のセンサー情報を可視化していきます。
MyPlaceで提供しているようなサービスをpoint 0でもアプリを通じて出していく予定です。
point 0のコンセプトは、”Worktech”を掲げています。
イケてる会社や市場ができあがっていく時には、新しく産業を定義していくことが多いです。
例えば、”Fintech”や”シェアリングエコノミー”などですよね。
Worktechを定義して、産業かしていくことの中心には我々がいたいなという意思もあります。
<今後のMYCITYの事業の進め方もWorktechが軸になっていくのでしょうか?>
そうですね。
これまではあまりスムーズにできていなかった検証が、これだけ多くの方が訪れるコワーキングスペースだからこそ検証が行えるということがとても良いと感じています。
コミッティー企業様と入居している皆さんと一緒に産業を作っていけることをとても楽しみにしています。
<point 0としての今後の展望を教えてください。>
point 0は再定義するという意味なので、第一弾が働く場所を再定義するということでpoint 0 marunouchiを立ち上げました。
今後はpoint 0として他の場所に広がっていくべきだと考えていて、MYCITYとしても広がっていきたいと考えています。
コワーキングスペースとしてのpoint 0を東京だけに作っても面白くないなと考えているので、質的に異なる(オフィスではない)point 0を、あるいは東京・日本ではないpoint 0をつくっていけたらいいなと思っています。
<こちらをお読みいただいている皆さんへのメッセージ>
働き方・オフィスを再定義する場所として、point 0があるので、多くの方に利用していただきたいなと思っています。そして忌憚なくご意見をたくさんいただけたら嬉しいなと思っています。
大企業とスタートアップのコラボレーションの事例として面白い動きをしていると思うので、point 0だけではなくMYCITYも大きくなっていきたいと思います。
そんな部分を一緒に行える仲間が増えることを待っています。
MYCITYでは絶賛採用強化中です。
こんなに良い空間で働くことはなかなかできないと思いますので、
ご興味のある方はぜひ一度お会いしましょう!
【石田 遼】
東京大学大学院で建築・都市設計を専攻。
卒業後、マッキンゼーアンドカンパニーにて国内外の企業・政府の戦略策定・実行を支援。
主に都市開発、公共政策などを担当。
LIQUID 国際事業戦略室長を経て、2017年にMYCITYを設立。